第11週(第43回〜第46回配信)

バチカンに持参した岩手県岩谷堂の手文

第43回配信(2007.11.26)【注意を喚起する言葉「イドゥー」】(マタイ2・1〜2)
◆マタイ2章1〜2節に【そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。】(新共同訳)とあります。これを新しいケセン語訳では【そん時(どぎ)、ほれ、星占ァの巫(みご)等ァ東の方がらエルサレンさやって来て、こう語った。】と訳しました。◆ケセン語訳では「ほれ」という言葉が入っています。新共同訳には、この「ほれ」に相当する言葉が入っていませんが、ギリシャ語の原文には「イドゥー」という言葉が入っています。◆「イドゥー」は、英語の「Look」という言葉と同じ使い方で、注意を喚起するときに使われます。ケセン語訳聖書では所々に「ほれ」が登場します。(「ケセン語訳聖書を楽しむ会」より熊谷雅也が要約) ※ケセン語訳聖書の情報はイー・ピックス出版 http://www.epix.co.jpへどうぞ

第44回配信(2007.11.27)
【星の現れたのを見て〜】(マタイ2・2)
◆マタイ2章2節に【ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。】(新共同訳)とあります。◆新共同訳で「東方で〜」と訳されている箇所は、よくよく原文を見ますと「星の昇りを見て〜」という意味なのです。これを「東方で〜」と訳すこともできますが、私は前後の文章から考えて「星の現れたのを見て〜」としました。◆そこでケセン語訳では、【ユダヤ衆等(しァど)の王(みかど)どして生まれやった方ァ何処(どご)さ居やりァせ? 臣等(おらど)ァその星の現れだのォ見で、そのお方ァどごォ拝みさ来ァしてござりァす。】としました。◆標準語で訳すと「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は何処においででしょうか? 私たちはその星が現れたのを見て、そのお方を拝みに参ったのです。」となります。(「ケセン語訳聖書を楽しむ会」より熊谷雅也が要約) ※ケセン語訳聖書の情報はイー・ピックス出版 http://www.epix.co.jpへどうぞ

第45回配信(2007.11.28)
【読み仮名の工夫】その1(マタイ2・2)〜臣等(おらど)〜
◆新共同訳の「わたしたち」という言葉を、ここでは「臣等(おらど)」と表しました。「おらど」という言葉は気仙地方ではよく使われる言葉です。「おらどァ息子」(私たちの息子)、「おらどァ海」(私たちの海)のように使います。◆「おら(私、おれ)+ど(等)」で「おらど」です。ここでは「臣」という漢字を「おら(=私)」と読ませて、「臣等(おらど)」としたわけです。◆ケセン語訳聖書では、この様に気仙の言葉を知らない人のために読み仮名に様々な工夫をこらしてあります。(「ケセン語訳聖書を楽しむ会」より熊谷雅也が要約) ※ケセン語訳聖書の情報はイー・ピックス出版 http://www.epix.co.jpへどうぞ

第46回配信(2007.11.29)
【読み仮名の工夫】その2(マタイ2・2)〜臣等(おらど)〜
ケセン語訳聖書では、気仙の言葉を知らない人たちのために、読み仮名に様々な工夫をこらしてあります。◆たとえば「理解力欠如者」という単語に、「ほうでァなし」という読み仮名を付けてあります。「ほうでァなし」というケセン語を見たり聴いたりしても、気仙の言葉を知らない人にとっては“ちんぷんかんぷん”ですが、「理解力欠如者」と書いて「ほうでァなし」と読み仮名を振ればその意味が感覚的によくわかりますね。(「ケセン語訳聖書を楽しむ会」より熊谷雅也が要約) ※ケセン語訳聖書の情報はイー・ピックス出版 http://www.epix.co.jpへどうぞ
第47回配信(2007.12.03)
【読み仮名の工夫】その3(マタイ2・2)〜臣等(おらど)〜
◆ここでは、「占星術の学者たち」に、自称の言葉として「臣等(おらど)」と言わせていますが、これは東洋の伝統に従ったものです。漢語文化圏(中国、朝鮮、日本など)では、皇帝や王の御前に進み出たときに、自分のことを「臣」と自称するのが礼儀です。そこでユダヤの王の前に進み出た自分たちを「おらど」(ケセン語で、私たち、おれたち)と言わせ、「臣等」の字を当てて表現してみたのです。「理解力欠如者(ほうでァなし)」も「臣等(おらど)」も漢字表現の遊びでもあります。(「ケセン語訳聖書を楽しむ会」より熊谷雅也が要約) ※ケセン語訳聖書の情報はイー・ピックス出版 http://www.epix.co.jpへどうぞ

分かる戦略! できる戦略!

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